研究課題/領域番号 |
15H05153
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
風間 伸次郎 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50243374)
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研究分担者 |
山越 康裕 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70453248)
児倉 徳和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70597757)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 辞書 / 比較言語学 / 対照研究 / コーパス / アルタイ諸言語 / ツングース諸語 / チュルク諸語 / モンゴル諸語 |
研究実績の概要 |
ツングース班に関しては、エウェン語、ウルチャ語の入力・電子化が完成した。これによってツングース諸語の先行研究における語彙/辞書資料の内、ネギダル語、オロチ語、ナーナイ語、エウェン語、ウルチャ語の辞書のもととなる部分が揃った。ウデヘ語とソロン語に関しては既存のものが使用できる。ウデヘ語とウルチャ語に関しては風間収集のテキストからコンコーダンスを作成し、頻度1と頻度の2の語彙について例文を収集し、Lexique proによる例文付き語彙集を作成した。上記の先行研究の入力と統合することにより、辞書が完成する。 現地調査によっては、ソロン語、エウェン語の一次資料を十分に収集することができた。エウェン語に関しては新たにオホーツク方言の調査を行って資料を収集した。ソロン語とエウェン語のテキストを刊行した。いずれのテキスト集も民族学的な資料としても価値のあるものである。エウェン語に関しては11月にコンサルタントも招聘し、資料整理を行った。 チュルク班に関しては、、まずチュヴァシュ語の南部の方言に関する一次資料を大量に収集することができた。さらに3月には母語話者の協力者を招へいし、共同作業を日本で行ったため、その整理が進んだ。チュルク諸語の音声付き語彙集に関しても、研究代表者と研究分担者の共同により作業が進展し、サラール語をはじめとするいくつかの言語の公開へと進展した。 モンゴル班においては、既存の文法書の例文の入力が進み、その問題点やモンゴル国と内モンゴルのモンゴル語の相違が明らかになってきた。いくつかの文法の問題点に関しては、これを整理し、発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した通りの成果があがっているが、その第一の理由は研究協力者が学内の付属研究組織に所属しているため、緊密な連携のもとに作業状況を報告・確認し合いながら、作業を進めることが可能であった点である。第二に、貴重な言語の母語話者が留学生として来日していて、重要なデータの収集が容易に行えたという点も挙げられる。第三に、ロシア語の文献をアルバイトに頼んで入力・電子化する際にも、外国語大学という性格から、ロシア語専攻の学生やロシアからの留学生を雇うことができ、作業が着実に進展したという点を挙げることができる。第四に、ロシアおよび中国の現地の状況に目立った政治状況の悪化などは見られず、コンサルタントも協力的で、無事にかつ着実に現地調査を行うことができ、一次資料も十分に収集できたという点も挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
ツングース班では、今後はまずエウェン語とナーナイ語のテキストデータをコンコーダンスにかけ、辞書に使用する両言語の例文を確定する。その後得られた用例をアルバイトによってExcelで整理し、これまでに入力した辞書ベースと統合する。その後はもっぱらダブっている語幹を統合したり、品詞をつけたり、補注をつけたりという手作業になる。これは専門の研究者である研究代表者しかできないため、多大な時間を要するものと思われる。 チュルク班の語彙に関しては、音声の切り出し、張り付けを行う言語をさらに拡大していく。録音はもう済ませてあるので、最低2言語の書き起こしの達成を目指す。新たな録音も集める。 モンゴル班に関しては、文法例文の入力を済ませ、モンゴル国と内モンゴルの言語間の異同、文法の問題点の収集・整理などの作業を進めて行く。
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