大陸部東南アジアの歴史は、従来中国やビルマなどの中央集権的な権力組織を作り上げた「国家」を中心に語られるばかりで、これとは違った構造を持つ社会はほとんど無視されてきた。現在ではビルマ、タイ、ラオス、中国の四か国にまたがる山間盆地地帯(タイ文化圏)では、13世紀から20世紀にかけて盆地部分を支配するタイ系民族が周辺の山地民をその社会に組み込む形で数多くの「小王国」を形成していた。このような「小王国」が近代国民国家形成の流れの中でなぜ消滅してしまったのか、という疑問を本研究計画で解決できた。 また、本研究計画により数多くの未知の言語が発見・記録され、歴史言語学に数多くの新たな知見をもたらした。
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