エノン写像とよばれる構造不安定な力学系の構造を、熱力学形式とよばれる統計力学とのアナロジーを用いて解析した。平衡状態とよばれるLyapunov指数とエントロピーの差を最大化する不変確率測度の存在と一意性を示し、それを通じてマルチフラクタル解析を行い、不変集合の幾何学的構造の一端を明らかにした。2017年度からは可算マルコフシフトとよばれる非コンパクト空間上の力学系の大偏差原理の研究を始め、level-2の大偏差原理を証明することができた。区間力学系のLyapunov指数の最適化問題についても研究を行い、成果を挙げることができた。
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