奈良をはじめ日本に数多く現存する伝統的木造建築物である社寺建築物は、国宝や重要文化財の指定を受けるものが多く、観光資源としても非常に価値が高い。近年はこのような建物の耐震改修工事が頻繁に行われつつあるが、社寺建築物に特化した耐震性能評価法や耐震補強法が未確立であるため、耐震性能を過小評価することが多く、また鉄骨などによる安易な補強が目立つ状況である。本研究では、大工棟梁による伝統技術も含めた建物の文化的価値向上を目指し、既存建物の構造調査や、社寺建築物仕様の実験、解析を行い、既存社寺建築物の耐震性能評価を行うとともに、金物を極力用いない伝統仕様の耐震補強法を提案した。
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