本研究では、歩行機能の要である大腿骨に着目し、そのマクロ形態の発生を現生人類と、現生人類に最も近縁な化石人類であるネアンデルタールとで出生から老年期まで比較した。微少な形態変異を詳細に分析・可視化するため、形態地図法という解析手法を用いた。まず、現生人類では、成熟後も老年期にかけて大きな形態変化を示すこと、ネアンデルタールも同様の加齢変化を示すことが明らかになった。一方、ヒトとネアンデルタールの差は出生時には小さく、成熟への過程で大きくなることが明らかになった。機能的側面は精査が必要だが、これは、歩行機能の要である大腿骨の発生パターンが系統的に近い2種の人類で分化していたことを示す結果である。
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