研究課題
ハクサイ市販品種の自殖後代 (F2)を用いて、初期生育 (播種後7日の子葉の大きさと播種後14日の本葉の大きさ)に着目したQTL解析を実施した。QTL解析に用いるDNAマーカーは、両親系統の全ゲノムリシークエンスにより見出したSNPsから、制限酵素サイトEco RI特異的なSNPsを元にCAPSマーカーに変換したものを利用した。合計3回のQTL解析を実施し、2回で共通して見られたQTLを1つ見出した。また、同じハクサイ市販品種の自殖後代であるF2集団を用いて、圃場試験を行い、収量に関するQTL解析を行い、複数のQTLを同定した。QTL解析に用いたハクサイ市販品種のF2とBC1F1の播種後14日の本葉サイズに着目し、植物サイズが下位10%の個体と上位10%の個体から、トータルRNAを抽出し、RNA-seqを行い、植物サイズ大小の両集団間で発現レベルが異なる遺伝子 (DEGs)を同定した。そして、DEGsを用いて、GO解析を実施した。F2の植物サイズが大きい集団では、光合成や葉緑体に関わる遺伝子の発現レベルが高くなる傾向が見られた。一方で、BC1F1の植物サイズが大きい集団では、細胞壁に関わる遺伝子の発現レベルが高くなる傾向が見られた。F2やBC1F1の植物サイズが小さい集団では、ストレス応答に関わる遺伝子の発現レベルが高くなる傾向が見られた。両親系統のSNPs情報を利用して、F1について両親系統の対立遺伝子を区別して解析を進めており、片親由来の遺伝子のみが発現している遺伝子を同定した。さらに、両親系統間の発現比率とF1での両親系統由来の対立遺伝子間の発現比率は、相関が見られる傾向があった。しかし、これら両者の間で相関が見られない遺伝子も見出しており、これらはF1特異的な遺伝子発現パターンを示している。以上、得られた情報を元に、本葉サイズに関わる遺伝子の特定を進めている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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