研究課題
ALSではDNA/RNA結合蛋白質の細胞質内異常蓄積が見られRNA代謝異常が病態の鍵になると考えられている。FUSはhnRNPA2B1/A1とともにhnRNPファミリーに分類され、RNA代謝の主要な機能分子である。またVCPは蛋白分解経路の重要な分子であり異常蛋白質分解機構の破綻もALS病態に共通した機序であると考えられる。申請者らは蛋白分解系のプロテアソームの骨格筋特異的欠損マウスを作成し、プロテアソームが骨格筋のホメオスタシスの維持に必須であることを示してきた実績がある (J Cell Sci 2014)。RNA代謝異常や蛋白分解異常は神経筋疾患に共通した重要な治療標的になると考えられ、これらの経路に焦点を当てて解析を進めた。これまで、家族性ALS家系の集積により13家系のFUS遺伝子変異を同定した。そのうち、1家系2例のFUS関連ALS(FUS-ALS)罹患者より本学倫理委員会で承認された手順に則り同意を得て、皮膚生検を行った。これより初代培養線維芽細胞を樹立し、連携研究者の施設にてiPS細胞樹立に成功した。樹立したFUS-ALS疾患特異的iPS細胞株の品質管理を行うため、外来遺伝子ゲノム挿入部位の確認、未分化マーカーの発現、多分化能の確認を実施、良質なクローンを選択した。また、由来した罹患者と同一のFUS遺伝子変異確認も行った。運動ニューロン分化後にRNAsequenceなどの解析を行ない、StemCell Reports誌に報告した。
2: おおむね順調に進展している
これまで、家族性ALS家系の集積により13家系のFUS遺伝子変異を同定しMuscle and Nerve誌に報告した。そのうち、1家系2例のFUS関連ALS(FUS-ALS)罹患者より本学倫理委員会で承認された手順に則り同意を得て、皮膚生検を行った。これより初代培養線維芽細胞を樹立し、連携研究者の施設にてiPS細胞樹立に成功している。運動ニューロン分化後にRNAsequenceなどの解析を行ない、StemCell Reports誌に報告した。論文発表も行えており、順調に進捗していると考えている。
当初の研究計画通り、運動ニューロンおよびアストログリアへの分化誘導の疾患感受性の確認を行なった。今後はisogenic lineを用いた変異FUS-ALSヒト細胞モデルにおけるRNA病態解明のため、トランスクリプトーム解析を行って本研究を推進する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
Stem Cell Reports
巻: . ページ: -
10.1016/j.stemcr.2016.02.011
Muscle Nerve
10.1002/mus.25061
Autophagy
巻: 12 ページ: 1-222
Hum Mol Genet
pii: ddw053.
Neurology Genetics
NG/2015/000729
Neurological Therapeutics
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