研究課題/領域番号 |
15H05727
|
研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
増山 幹高 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (50317616)
|
研究分担者 |
川人 貞史 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10133688)
待鳥 聡史 京都大学, 法学研究科, 教授 (40283709)
|
研究期間 (年度) |
2015-05-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 政治 / 政策 / 情報 / 立法 / 行政 |
研究実績の概要 |
本研究では、行政文書の管理・開示や電子化に限定されてきた政策情報の需要供給のあり方を根本的に問い直すとともに、情報公開法の対象とされていない立法府の情報公開を促進し、政府の提供する政策情報を誰しもが効率的に入手する方策を検討する。平成29年度においては以下を実施した。 1.行政情報の利用:情報公開開示請求データベースを改善し、請求案件の登録作業を進めるとともに、請求案件名をテキスト・データとして分析する機能を拡張した。データベースの大規模化に対応する処理速度の向上を図り、分析例をスライドショー化する機能を追加した。また近隣自治体にデータベースの運用状況を報告し、自治体による利用方法についてヒアリングを実施した。 2.立法情報の利用:国会審議映像検索システムについて、検索対象の審議映像を拡充し、会議録と審議映像の同期自動化プログラムを改善・拡張した。審議映像の再生開始と終了を指定できるようURL表記を時分秒に変更し、SNSで共有したURLが会議録情報を更新しても有効であり続けるようにした。またキーワード検索とパターン認識を組み合わせ、パネルなど視覚的情報を自動的に抽出する機能を開発し、文字認識による参考資料のデータベース化にも着手した。 3.政策情報の国際的発信:外国議会や国際機関の提供するデータベースやその運用方法について調査を行った。ポーランド議会・オランダ議会をそれぞれ訪問し、議会事務局へのヒアリングを通じて、両国議会における立法情報や会議録作成・審議動画配信に関する取り組みについて調査した。また地方議会審議映像検索システムにおいて、国会審議映像検索システムで開発した自動翻訳による英語入力検索を導入した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
情報公開開示請求データベースについては、分析機能の処理速度を向上させるとともに、分析機能を拡張し、開示情報のテキスト・データとしての分析機能や、請求ごとの関連についてのシステム上における可視化を進めることができた。 国会審議映像検索システムにおいては、検索対象の審議動画を拡充するとともに、審議映像の同期自動化プログラム機能を拡張し、学内のネットワークにおいて登録作業、字幕作成・同期作業が完了するようになった。また、システムの視聴画面上に映像の送り・戻し機能を追加し、より細かい場面ごとの抽出や部分再生を可能にした。さらに、パネルの切り抜き機能・会議別画像一覧画面の開発、パネルに表示された文字認識機能の拡張によって会議録の文字情報からは捨象されている情報をより可視化させることができた。 国会審議映像システムの音声認識による文字情報と映像情報の同期機能を適用し、音声録音・再生環境の異なる地方議会の審議映像についても地方議会審議映像検索システムとして一般公開し、検索対象の審議映像の拡充を進めている。また、国会審議映像検索システムでの開発を応用し、英語表記での検索画面を地方議会審議映像検索システムにおいても実装した。
|
今後の研究の推進方策 |
1.行政情報の利用:情報公開請求の機能拡張・対象自治体の拡充を継続する。個人情報保護・システム管理者側の一元的な入力システム構築、データベースの有用性・利便性の向上を優先し、既に収集した開示請求情報の登録を完了し、クラスタリングやワードクラウドなどのテキスト分析機能を実装する。 2.立法情報の利用:国会審議映像検索システムの音声認識と会議登録を完全自動化し、検索対象の審議映像を拡充する。パネル抽出・パネル文字認識などの処理を自動化し、音声認識や表情分析の機能拡張を進める。映像再生に際して、スマートフォンやタブレット向けの動画配信方式に対応し、音声操作やアンケート作成の機能を追加する。地方議会審議映像検索システムの対象自治体を拡充し、国会審議映像検索システムと同様の検索オプションを追加する。 3.政策情報の国際的発信 世界政治学会(ブリスベン)、欧州政治研究学会(ハンブルグ)、米国政治学会(ボストン)で研究成果を報告する。外国議会調査を継続し、世界政治学会参加の機会を利用して、オーストラリア議会においてヒアリングを実施する。自動翻訳による英文入力検索を改善・拡張する。
|