マウス腹膜癌モデルにKRAS導入を行い腫瘍形成や腫瘍内微小環境の変化を検討した。KRAS導入モデルでは、腫瘍形成促進とともに炎症の増悪と好中球の増加がみられた。腹膜癌進展における好中球の関与を検討するために好中球マーカーである抗Ly6G抗体を用いて、好中球を含むLy6G陽性細胞の除去実験を行った。その結果、好中球除去群において、腫瘍形成・腹水産生の促進を認めた。また、T細胞の分画においては、CD8陽性T細胞の減少とCD4陽性T細胞の増加を認めた。KRAS導入がん性腹膜炎由来の好中球は、T細胞共刺激分子であるOX40-Lを発現し、CD8陽性T細胞の増殖を促進することが解明された。
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