イリジウムを中心金属とした多座配位固定型のFischer型カルベン錯体の合成を達成することができた。その反応性の探索を行ったところ、カチオン性の錯体がアルケン、アルキン等の小分子と特異な反応性を示すことを見出した。一方、ピナコールボランと種々の鎖状エーテルとの反応にカチオン性のイリジウム錯体を触媒量添加して反応を行うと、エーテルの脱アルコール化が進行しアルケンが得られた。他のイリジウム錯体を用いた場合はいずれもアルケンは得られなかったことから、多座配位固定型のFischer型カルベン構造が何らかの形で寄与していると考えられる。
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