研究課題
健康長寿を達成し,健康寿命の延伸,すなわち自立した期間の延長には,脳卒中や認知症の予防とともに,運動機能を維持することが必要であり,筋肉量,筋力,身体能力の低下(サルコペニア)を予防することが重要である.近年,身体能力に対して,口腔機能が関連することが報告されており,そのメカニズムとして,栄養摂取が媒介すると考えられているが,エビデンスはまだない.そこで本研究においては,自立した生活を送っている80歳ならびに90歳の高齢者を対象に,3年間の前向き研究を行い,口腔機能が栄養摂取を介して,筋肉量,筋力,身体能力の低下(サルコペニア)の発症ならびに進行に及ぼす影響について,検証した.本研究において,ベースライン時に調査に参加した973人(80歳)の被験者のうち,3年後の追跡調査に参加した者は509人(83歳)であった.3年間で歯や咬合支持を喪失した者はほとんどいなかった.そこで,男女別にベースライン時の咬合支持の有無と3年後の歩行の速さ,握力との関連との検討を行った.その結果,男性においては,ベースライン時の咬合支持が無い者は,ある者に比べて,有意に歩行の速さが遅いことが示唆された.女性においては,有意な差は認められなかった.本研究によって,咬合支持の有無が,3年後の運動機能に影響を及ぼすことが推察される結果を得た. しかしながら,3年間では口腔の変化が少ないため,今後も調査を継続して,咬合や咀嚼機能などの口腔機能の維持が,健康長寿を創ることを明らかにしていきたいと考えている.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Journal of Dental Research, Clinical and Transitional Research
巻: 2 ページ: 187-197