研究課題
ゼオライトは、そのナノレベルの結晶性規則構造に基づいた「吸着能」や「触媒能」の寄与により、我々の生活を身近で支える工業材料である。しかし、その調製および実験へのアプローチは場当たり的なトライアンドエラーおよび経験則に基づいており、合成メカニズムが大変不明瞭であるため、興味深く有益なゼオライトの機能を自在に設計することはまだ困難である。本研究では、現状のゼオライトの機能構築における具体的な問題点を課題として掲げ、申請者が合成に成功した新規層状ケイ酸塩の構造を有効利用し、規則的多孔質材料中の吸着能および触媒能の設計を試みることで、問題解決型の多孔体材料設計手法を提案する。本研究では、新規層状ケイ酸塩Hiroshima University Silicate (HUS)を用い、ゼオライトと類似構造を有する規則的ミクロ多孔体および触媒の設計を試みた。具体的には、現状のゼオライトの機能構築における具体的な問題点を課題として掲げ、以下の研究課題に着手した。(1)一般的なゼオライトが無機の四面体ユニット(SiO4やAlO4)のみから成ることに着目し、通常のゼオライトにはない吸着特性の発現を期待して、有機官能基の分布が制御された規則的ミクロ細孔構造の構築を試み、新たな細孔材料の設計に成功した。(2)ゼオライト骨格内に特異的に存在する、優れた触媒活性種である四配位状態の遷移金属種を層状ケイ酸塩表面で構築する。既存のゼオライト合成における、四配位金属種の含有量(触媒活性に直結する)の限界値(Tiの場合は2 wt%)を突破させることで(目標8 wt%)、より高効率な触媒開発に取り組んだ結果、既存の触媒材料を凌駕する、触媒活性を持つ材料の開発に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 11件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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