アメロゲニンC末端ペプチド(amgCP)を用いてMSCsおよびMC3T3-E1の細胞増殖能・基質産生能に対する影響について検討を行った。各培養細胞は、amgCP添加により対照群と比較して生細胞数およびDNA合成量の有意な増加が認められた。amgCP添加により骨分化誘導後14日目においてMSCsのALP、BSPの遺伝子発現量は有意な増加が認められた。また、Western blot解析ではMSCsのALP、BSPの遺伝子発現量は有意な増加が認められた。 シグナル伝達経路についての検討では、amgCPはLAMP1 受容体を介してERK1/2を活性化し、MSCsの細胞増殖に影響を及ぼすことが明らかになった。 amgCPの固定化の有効性を検討するため、金基板表面にカルボジイミド法を用いて固定した。SPR装置を用いて定量したamgCPの結合量は13ng/cm2であった。細胞培養プレートに作製したamgCP固定金基板を設置し、amgCP固定化が各培養細胞の細胞増殖能および基質産性能に及ぼす影響について検討を行った。その結果、amgCP固定化群は対照群と比較して、生細胞数、DNA合成量の有意な増加が認められた。また、定量PCR解析では、MSCsにおいては骨分化誘導開始14日目のALPの遺伝子発現量は有意な増加が認められた。動物実験を用いた検討のため、紫外線グラフト重合によりamgCP固定化吸収性PLA/GAメンブレンを作製した。ラット頭蓋骨に骨欠損部を作製し、amgCP固定化メンブレンを設置し、骨欠損部の形態学的変化についてマイクロCT撮影を行い、評価した。amgCP固定化メンブレンは対照群と比較して、骨再生部の形態において明らかな変化は認められなかった。
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