これまでの出土木製品の保存処理研究では、出土木材が実験試料として使用されてきた。しかしその数は限られており、また均質な試料でもない。本研究では出土木材を模した擬似出土木材を調製するため、現生材を人工的に劣化させる方法の開発を行った。研究の結果、前処理としてフェントン反応を用いて現生材を劣化させることで、セルロース分解酵素による現生材の劣化が可能になることを確認した。フェントン反応とセルロース分解酵素による劣化を繰り返すことで、含水率を上昇させるとともに、出土木材の化学組成に近づけることに成功した。
|