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2016 年度 実績報告書

細胞増殖抑制活性を有する新規ペプチド性天然物の合成と生物活性発現機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15J05499
研究機関京都大学

研究代表者

金田 雅仁  京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2018-03-31
キーワード環状ペプチド / 有機化学 / 構造活性相関研究
研究実績の概要

Odoamideのポリケチド部分には1,3-ジオール構造があり、odoamideはその7位の水酸基を介したエステル構造を有する26員環構造からなる。一方、odoamideの類縁化合物として5位の水酸基を介した24員環構造からなる天然物も報告されている。そのため、1,3-ジオール構造におけるエステル交換反応により異なる生物活性を示す類縁体が存在する可能性が考えられる。また、odoamideのMeAlaに相当する部位にD-アミノ酸を含む類縁天然物も報告されている。これらのことから私は、24員環構造からなる異性体や、構成アミノ酸が異なる誘導体を合成し、odoamideの生物活性に寄与する因子の精査を行った。
構成アミノ酸の異なる各誘導体について、Fmoc固相合成法を利用することで効率よく合成し、細胞増殖抑制活性を評価した。その結果、24員環型異性体は天然物と同等の細胞毒性を示した。また、HPLC分析により、天然物と24員環型の異性体の間には分子内エステル交換反応による平衡があることが示唆された。構成アミノ酸の立体化学を変換した誘導体では、MeAlaをD-MeAlaに変換した誘導体では活性が維持したのに対し、その他の誘導体では活性の低下が認められた。このことから、環のコンフォメーションの大きな変化は活性に著しい影響を与えることが示唆された。
以上の結果より、天然物として存在するペプチド骨格が活性発現に有利なコンフォメーションをとることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者はodoamide誘導体の生物活性を詳細に評価するべく構造活性相関研究に取り組んだ。種々のodoamide誘導体を合成してその生物活性評価を行い、生物活性に寄与する部分構造を明らかにするとともに、天然物と同程度の活性を有する新規誘導体を見出した。また、天然物と分子内転位反応を介した平衡関係にある異性体の存在も明らかにした。以上のことから、当初の研究計画の通り順調に研究が進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

提唱構造の誤りが指摘されているペプチド性天然物の合成研究に取り組む。本天然物はその特徴的な構造と生物活性の相関に興味が持たれる。そこで、まず絶対立体配置を決定するために、複数の立体異性体を効率よく合成可能な経路を確立する。その後、天然物との各種化合物データを比較することで絶対立体配置を決定する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Odoamide, a cytotoxic cyclodepsipeptide from the marine cyanobacterium Okeania sp.2016

    • 著者名/発表者名
      Sueyoshi, K.; Kaneda, M.; Sumimoto, S.; Oishi, S.; Fujii, N.; Suenaga, K.; Teruya, T.
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 72 ページ: 5472-5478

    • DOI

      10.1016/j.tet.2016.07.031

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Total synthesis of odoamide, a novel cyclic depsipeptide from an Okinawan marine cyanobacterium2016

    • 著者名/発表者名
      Kaneda, M.; Sueyoshi, K.; Teruya, T.; Ohno, H.; Fujii, N.; Oishi, S.
    • 雑誌名

      Org. Biomol. Chem.

      巻: 14 ページ: 9093-9104

    • DOI

      10.1039/C6OB01583B

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 環状デプシペプチドodoamideの合成と構造活性相関研究2016

    • 著者名/発表者名
      金田雅仁、川口晋作、末吉康佑、照屋俊明、藤井信孝、大野浩章、大石真也
    • 学会等名
      第34回メディシナルケミストリーシンポジウム
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県つくば市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] 環状デプシペプチドodoamideの合成と構造活性相関研究2016

    • 著者名/発表者名
      金田雅仁、川口晋作、末吉康佑、照屋俊明、藤井信孝、大野浩章、大石真也
    • 学会等名
      第42回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      静岡市清水文化会館マリナート(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2016-11-07 – 2016-11-08
  • [学会発表] Synthetic study of odoamide and its derivatives2016

    • 著者名/発表者名
      Masato Kaneda, Shinya Oishi, Kosuke Sueyoshi, Toshiaki Teruya, Hiroaki Ohno and Nobutaka Fujii
    • 学会等名
      34th European Peptide Symposium
    • 発表場所
      ライプチヒ大学(ドイツ、ライプチヒ市)
    • 年月日
      2016-09-04 – 2016-09-09
    • 国際学会
  • [備考] 京都大学大学院薬学研究科医薬創成情報科学専攻 ケモゲノミクス・薬品有機製造学分野

    • URL

      http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp//seizo/

URL: 

公開日: 2018-03-07  

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