研究実績の概要 |
Odoamideのポリケチド部分には1,3-ジオール構造があり、odoamideはその7位の水酸基を介したエステル構造を有する26員環構造からなる。一方、odoamideの類縁化合物として5位の水酸基を介した24員環構造からなる天然物も報告されている。そのため、1,3-ジオール構造におけるエステル交換反応により異なる生物活性を示す類縁体が存在する可能性が考えられる。また、odoamideのMeAlaに相当する部位にD-アミノ酸を含む類縁天然物も報告されている。これらのことから私は、24員環構造からなる異性体や、構成アミノ酸が異なる誘導体を合成し、odoamideの生物活性に寄与する因子の精査を行った。 構成アミノ酸の異なる各誘導体について、Fmoc固相合成法を利用することで効率よく合成し、細胞増殖抑制活性を評価した。その結果、24員環型異性体は天然物と同等の細胞毒性を示した。また、HPLC分析により、天然物と24員環型の異性体の間には分子内エステル交換反応による平衡があることが示唆された。構成アミノ酸の立体化学を変換した誘導体では、MeAlaをD-MeAlaに変換した誘導体では活性が維持したのに対し、その他の誘導体では活性の低下が認められた。このことから、環のコンフォメーションの大きな変化は活性に著しい影響を与えることが示唆された。 以上の結果より、天然物として存在するペプチド骨格が活性発現に有利なコンフォメーションをとることが示唆された。
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