研究課題/領域番号 |
15K00063
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
土屋 隆裕 統計数理研究所, データ科学研究系, 教授 (00270413)
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研究分担者 |
冨田 尚希 東北大学, 大学病院, 助教 (00552796)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 統計調査 / 調査票デザイン / 複数回答方式 |
研究実績の概要 |
統計調査の多くが、調査員調査から、調査対象者が自ら回答を記入する自記式調査へと移行する中で、調査票への誤記入や記入漏れといった非標本誤差が発生するおそれはこれまで以上に高まっている。調査の精度を確保するには、記入者にとって分かりやすい調査票の設計を行うことが重要であり、いかにして適切な調査票の設計・開発を行うかという調査票の設計手法自体について革新が必要である。本研究では視線追跡装置とオンライン調査を用いた実験調査を行うことで、調査対象者にとって優しい自記式調査票の設計を行う手法を開発する。 本年度はまず、昨年度実施したオンライン調査データを分析した結果得られた知見を、調査票デザインに関する国際会議(QDET2)や統計関連学会連合大会で発表した。当てはまる選択肢をいくつでも選んでもらう複数回答方式は、個々の選択肢への該当・非該当を尋ねる強制選択方式よりも該当割合が低い結果となる。その主な理由は回答者の労力最小化傾向(Satisficing)であると考えられた。その根拠としては、複数回答方式では強制選択方式と比べて選択肢の順序効果が顕著に見られること、複数回答方式では強制選択方式よりも回答所要時間が短いこと、選択肢のリストを分割して提示することで複数回答方式の過少回答傾向を抑制する効果が見られたこと等が挙げられた。次に、自記式の問診票の改善に取り組んでいる医師の協力を得て視線追跡装置を用いた実験を行うこととし、具体的な自記式調査票の改善を行い、その改善効果の検証方法について計画を立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は視線追跡装置を用いた実験を研究代表者自らが実施する予定であった。しかしより実用的な調査票デザインの設計を図るため、自記式の問診票の改善に取り組んでいる現場の医師に研究分担者として参画してもらい、その経験を活かした新たな計画の練り直しが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者の協力の下に、大学病院を受診した患者に対して、問診票を素材として視線追跡装置を用いた実験を実施する。その結果の妥当性については患者の家族などから聞き取り調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度新たに研究分担者を加え、計画の練り直しを行ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者の協力の下に、大学病院を受診した患者に対して、問診票を素材として視線追跡装置を用いた実験を実施する。
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