研究課題/領域番号 |
15K00237
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯山 将晃 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (70362415)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / 3次元計測 / 散乱現象 / 照度差ステレオ |
研究実績の概要 |
散乱媒体を利用した3次元形状計測手法の開発として,本年度は散乱媒体下における照度差ステレオを用いた物体法線推定と,散乱厚みの計測によるデプスマップ推定との融合による,奥行きエッジが存在する物体の形状計測手法を開発した. 散乱による画像の劣化を考慮した照度差ステレオ法により,散乱媒体下でも物体表面の法線を計測することができる.また,照明位置を変化させて撮影した複数枚の画像に基づき物体の法線だけでなく散乱の度合い(散乱厚み)を計測することもでき,これによりカメラから被写体までのおおよその距離を計算することもできる.被写体の局所的な凹凸を照度差ステレオ法で,おおまかな形状を散乱厚みで計測し,それらの計測結果をエネルギー最小化によって統合することで3次元形状を計測する手法を提案した. 提案した手法の精度を,水槽とスポットライト,および高感度カメラを用いた計測システムを用いて検証し,一定の散乱媒体の濃度であれば十分な精度で計測が可能であることを示した. また,隠蔽面の計測手法についても昨年度の実験結果に基づきどの程度の形状までが計測可能かについての理論的検証を行った.多重反射までを考慮することによりこれまでの(空気中での)形状計測に比べ,カメラの死角となっている箇所など多様な形状が計測可能となることが判明した反面,実環境下ではレーザ光の強度の減衰などにより多重反射,特に3次反射以降を観測することは事実上困難であり,実環境下でどの程度の計測が可能かについて今後検討する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
散乱現象を利用した形状計測の理論の構築は完了しており,実証実験においても有効な結果を得ている. 当初予定していた研究計画のうち,隠蔽面の計測についても理論的な検証は完了しており,最終年度に向け性能評価のためのシステム構築も完了している.
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今後の研究の推進方策 |
隠蔽面の計測については今後精度評価実験を継続し,その性能を評価したい. また,当初の研究計画にない発展的課題として,本研究課題で開発した手法を実環境下で応用するためのシナリオと,そのシナリオ達成に向けた計測能力の検証についても行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定してた成果発表のための旅費が見込み額より安くなったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に投稿する論文の英文校正料として使用する予定である.
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