研究課題/領域番号 |
15K00290
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
橋本 渉 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (80323278)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光学設計 / シミュレータ / 可搬型球面スクリーン / 組立式球面スクリーン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,簡単に球面ディスプレイを設計構築し,気軽に展示運用することができる開発キットを構築することである.球面ディスプレイの設計構築において,本研究では光学設計,製作,調整,コンテンツ生成の4つの開発フローに分類する.開発キットは,それぞれのフローにおける作業を支援するためのツールを提供する. (1)球面ディスプレイシステムの光学設計ツールの開発(光学設計,調整フロー):球面ディスプレイにプロジェクタの映像を投影するため,光学素子の配置シミュレーションを行うことができる設計ツールを開発した.設計ツールでは,プロジェクタや凸面鏡,平面鏡を任意の位置に配置することができ,任意の大きさの曲面スクリーンに投影したときの,フォーカスの状態や歪みの様子を確認できるものである.さらに複数プロジェクタの利用にも対応させている.さらに,実際の球面ディスプレイに映像を投影しながら,歪み補正を微調整できるようにするため,シミュレーションと歪み補正テーブルを実時間で完了するよう,光線追跡処理の最適化をおこなった. (2)発泡プラスチック素材による組み立て式球面スクリーンの開発(製作フロー):可搬性の高い球面ディスプレイとして,発泡スチロール製の組立式スクリーンの制作をおこなった.曲率半径65[cm],水平垂直画角が140度の球面スクリーンを,宅急便140サイズの12箱に分解できるように,嵌め合い組み立て式によるものを試作した.これにより,従来のスクリーンと比較して移動が容易となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)球面ディスプレイシステムの光学設計ツールの開発(光学設計,調整フロー) おおむね計画通りに進捗している.設計フローを体系化し,設計に必要な要素や機能を洗い出し,それらの機能を実装したシミュレータを開発した.当初計画していたGPGPUの活用による設計の高速化については,開発したシミュレータが十分高速であり,高速化の必要性がなかったため,導入を見合わせた.また,次年度の実施を予定していた表示位置合わせに関する微調整機能の検討について,前倒しで開発を行うことができ,シミュレータに実装することができた.
(2)発泡プラスチック素材による組み立て式球面スクリーンの開発(製作フロー) 計画通りに進捗し,球面スクリーンとして完成している.現時点の問題点は,継ぎ目がスクリーン上に目立つことである.継ぎ目を目立たなくするための工夫が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
(3)調整の自動化と高精度化(調整フロー):デプスカメラ等により投影状況を取得し,光学設計や調整にフィードバックすることを検討する.投影状況だけでなく,スクリーンの形状,継ぎ目の状態を取得し,スクリーン形状の推測や継ぎ目の映像補償なども試みる. (4)歪み補正の高速化と簡単化(コンテンツ生成フロー):市販されているゲームエンジンを活用し,プログラム等の経験の有無によらず,コンテンツを容易に構築できるように工夫を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は2015年6月より3か月間海外研修しており,その間の研究では物品を購入する必要がなかったため,前年度未使用額が大きくなった.
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画していたが前年度購入できなかった,映像生成用PCやプロジェクタの購入に使用する.
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