ボトムアップアプローチについては、提案してきた WoUE について、理論的解析と検証実験を進め、動的資源配分問題に対する汎用的な方法として整理し、その性能を示すことができた。特に強化学習における探査率については、理論的最適値とWoUEにより得られた値との比較を行い、既存手法よりもより最適に近い値を提案手法が獲得していることを示すことができた。 トップダウンアプローチについては、資源共有問題の一つである、数万人規模のイベント人流制御を題材に、その制御と人々の快適さをバランスする方法をシミュレーションにより評価した。具体的には一次元歩行者モデルを実装し、最大100万人規模の歩行者を扱うことが可能な歩行者シミュレータ CrowdWalk について、モデルの精緻化と網羅的な分析の実現に向けて、歩行者の実データを反映する機能や複数試行の自動実行機能の開発を進め、資源共有問題としての人流制御の分析評価を行った。応用事例として花火大会の誘導をとりあげ、効率性・安全性・快適性などをバランスする人流制御を評価する枠組みを構築できた。
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