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2015 年度 実施状況報告書

物語構造分析に基づく専門文書の統合的読解技術の向上に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K00454
研究機関湘南工科大学

研究代表者

内山 清子  湘南工科大学, 工学部, 准教授 (20458970)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード読解実験 / 論理構造 / 修辞構造 / 骨組み語 / テーマ語 / 叙述語
研究実績の概要

専門分野を理解するためには専門用語をまず認識し、理解することが重要である。しかし、実際はまだ分野の基礎的な教育を始めたばかりの学生にとって専門用語の認識は困難である。著者は専門用語の認識について、初心者(学部3,4年生と専門分野外の学生および研究者)と専門家(分野の研究者)の間でどのような違いがあるのか、論文読解方法についてWeb上で実験するシステムを用いて調査を行った。
専門分野(情報処理分野と自然言語処理分野)の論文を学部学生や、分野外の学生、研究者に読んでもらい、専門用語について(1) 必須である、(2)知っておいた方が良い、(3)後で調べる、(4)Webで調べる、の4つの選択肢を用意し、抽出をしてもらう実験を行った。この実験では、初心者が専門用語の意味を調べる時に適切に定義などを表示できるようなシステムを開発することを目的として実施した。実験は英語と日本語の論文を用意し、ページ毎に読む時間、専門用語として重要であるかどうかの判定、ページの推移のログを取り、その結果を分析した。分析結果は、初心者や分野外の学生や研究者にとって、専門用語であるかどうかの判断も難しかったという結果が出た。つまり、初心者は専門用語の抽出ができないため、理解をする以前の問題であることがわかった。
一方で、研究者は分野外であっても比較的多くの専門用語を抽出することができていた。また、初心者はまんべんなく論文全体を読んでいたのに対して、研究者は最初の2ページと最後のページに時間をかけて読む傾向が出ていた。論文の概要を把握するためには、最初や最後を効率的に読む技術が研究者は経験的に培われているのだと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

読解実験を実施し、初心者と研究者の読解行動の違いの分析を行なうことができた。専門文書のコーパス化が遅れているが進捗状況としては問題ないと考えている。

今後の研究の推進方策

今年度は読解技術に必要なボトムアップ処理の情報として(2) 物語分析手法に基づいた専門用語の機能分析と言語的特徴の抽出、トップダウン処理の情報として(3)文章・論理構造の要素と言語的特徴の抽出を行う。実際は(2)(3)の二つの段階は区別するのではなく並行して研究を進めて行く。この内容はかなり挑戦的な、難易度の高いものであるため、できるだけ研究時間を割り振り、集中して取り組んでいきたい。
特に物語構造分析は、工学的に適用されたことがないことや、論文と物語との違いによる適用の有無などの予測が困難であると考えている。しかし、登場人物を中心にすえて文や各登場人物間の「役割・機能」を分析し、物語の変遷について文の機能ごとに「シーケンス分析」するなど、物語を類型化するための様々な手法について専門文書に適応していく。
特に専門文書の中には様々な専門用語が出現するが、その専門用語は物語における主人公的な役割を果たしているのか(文の主題)、あるいは贈与者として主人公に付加価値をつける役割を果たしているのか(主題の手法)など、用語自身にも異なる役割があると考えられ、ある分野においては似たような役割を持つ専門用語が存在していると予測できる。そこで、専門用語が文書の中でどのような機能を果たすのか、どのような目的で使われるのかを分析していく。更に専門用語同士の関係を特定できる言語表現を抽出し特徴を分析していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

海外発表の旅費を別予算で支出したため、予定よりも残額が大きくなってしまった。

次年度使用額の使用計画

今年度は引き続き海外発表も行うとともに、分析のために謝金を支払うことも予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] レポートや論文に含まれる基礎語彙の分類に関する一考察2015

    • 著者名/発表者名
      内山清子
    • 学会等名
      人工知能学会第29回全国大会
    • 発表場所
      北海道、函館市、はこだて未来大学
    • 年月日
      2015-05-31
  • [学会発表] A Study of Analyzing Comprehensive Reading Behavior for Research Activities based on a Web-based Experiment2015

    • 著者名/発表者名
      Kiyoko Uchiyama, Takeshi Abekawa, Akiko Aizawa
    • 学会等名
      PACLING 2015
    • 発表場所
      インドネシア、バリ、ストーンズホテル
    • 年月日
      2015-05-19 – 2015-05-21
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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