研究課題
基盤研究(C)
日本各地の湖沼からプセウドアナベナ(Pseudanabaena)属種を分離培養し、分類学的検討を行った結果、2-MIBを産する3種5分類群を見いだした。いずれも私たちが発見命名したものである。これらは16S rRNA, rbcL遺伝子においても多様であった。Pseudanabaena属の分類群を区別するのにITS領域の立体構造が有用であった。これらの2-MIB産生種は、その形態的特徴(サイズや色)が多様で、非産生種と形態的特徴で区別することは出来なかった。
微細藻類の分類
藍藻類(シアノバクテリア)のプセウドアナベナ属は、カビ臭物質(2-MIB)を産生するため、水道水や2枚貝のカビ臭問題を引き起こす。本研究では、この2-MIBを産生する本邦のプセウドアナベナ属藍藻の分類学的検討を行い、3種5分類群を記載した。日本から見つかった2-MIB産生種はすべて新分類群であった。従来カビ臭の産生/非産生の判別形質として用いられてきた方法はいずれも使えないことが判明した。私たちの今回の研究は、今後のカビ臭問題解決のための基盤となる研究であると考えている。