研究課題/領域番号 |
15K00774
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研究機関 | 大阪市立自然史博物館 |
研究代表者 |
濱田 信夫 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 外来研究員 (40270764)
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研究分担者 |
阿部 仁一郎 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 総括研究員 (10321936)
岩前 篤 近畿大学, 建築学部, 教授 (90368283)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 好温性カビ / 真菌症 / 室内環境 / 季節変動 |
研究実績の概要 |
ヒトの体温以上の温度条件で生育する好温性カビは,ヒトが発熱しても除菌することができない。体内に侵入した好温性カビが抵抗力の弱い患者の肺などに定着すると,真菌症を発病すると言われており,健康維持の観点から無視できない。以前,浴室などの温水を用いる水回りの環境では,体内で生育する真菌症の原因菌が多く見つかる可能性があると著者らは考え,体温条件でも育つ好温性カビの調査を行った。調査した浴室やシンクの中で,好温性カビが約52%の浴室, 約56%のシンクでそれぞれ見つかった。さらに40℃でもよく育ち,日和見感染症の原因菌である好温性カビExophiala dermatitidisがしばしば検出された。 室内塵の好温性カビについて実態調査を行った。大阪府内やその周辺について,2015-2018年に夏の調査を行うとともに,冬との比較を行った。また,地域的違いを調べるために,高知県や沖縄県との比較を行った。好温性カビは,これまで知られていた水回りやエアコンのほか,カーペットだけでなくフローリングなど室内環境のあらゆる部分に,一定数常在していることが分かった。また,Aspergillus fumigatusなどの好温性カビが生育していることが分かった。これらのカビは冬に比べて夏に多く,夏でも暑い年により多く,大阪より多湿である沖縄に多いことが明らかになった。さらに、好温性のカビの挙動は、沖縄では、高知などともかなり異なる。すなわち、A. fumigatus以外の好温性カビは、沖縄では冬でもかなり多く生育している。今後地球温暖化が進行し,気温が上昇し,かつ湿度が上昇すれば,大阪などでもA. fumigatusなどの好温性カビが増加する可能性があると思われる。
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