研究課題/領域番号 |
15K00830
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
東 あかね 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40173132)
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研究分担者 |
桝本 妙子 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (50290218)
北岡 かおり 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (60709020)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クラスター割付比較対照試験 / 公衆栄養マネジメント / 推定食塩摂取量 / ナトリウムカリウム比 / 乳幼児健診 / 子ども / 両親 / 起床後第一尿 |
研究実績の概要 |
本研究は適塩と和食の推進により、地域の若年期からの循環器疾患予防と健康増進を目指すものである。平成27年度から28年度は、ベースライン調査として乳児前期健診受診児の両親を対象とし、食習慣と推定食塩摂取量および尿中Na / K比との関連を検討した。 【方法】京都府内3市町の乳児前期健診受診児393人(受診率97.2%)の保護者755人(20~53歳、父369人、母386人)のうち、研究同意者449人(同意率59.5%)から、記載不備、高血圧治療中、早朝第1尿以外の者を除外した366人(解析率48.5%、父166人、年齢34.5±5.4歳、母200人、32.1±4.9歳)を解析対象とした。性、年齢、身体特性、授乳状況、食物摂取頻度7項目、減塩意識、採尿時間について自記式調査を実施し、尿中Na、K、Cr値を測定し、推定食塩摂取量(g /日)および尿中Na / K比(mgEq比)を算出した。食物の高摂取群と低摂取群、減塩意識の有無により対象を2群に区分し、性別に推定食塩摂取量と尿中Na / K比の中央値を比較した。 【結果・考察】推定食塩摂取量の中央値は父7.7、母8.1と、父が有意に低かった。母の授乳による食事摂取量増加の影響が考えられた。尿中Na / K比は父4.1、母3.9で有意差はなかった。父の推定食塩摂取量は、漬物高摂取群8.6が低摂取群7.6より有意に高かった。母の推定食塩摂取量は、減塩意識あり群8.0が意識なし群8.5より、野菜高摂取群7.9が低摂取群8.5より有意に低かった。母の尿中Na / K比は、野菜高摂取群3.6に対し低摂取群4.3、大豆製品高摂取群3.1に対し低摂取群3.9、果物高摂取群3.5に対し低摂取群4.0と、いずれも高摂取群で有意に低かった。地域の若年女性において、野菜、大豆製品、果物の高頻度摂取により尿中Na / K比が低下している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介入地域1市1町と対照地域1町のベースライン調査が計画通りに終了し、推定食塩摂取量と食事パターンとの横断的分析を実施することが出来た。また、新たに開始した対照地域1市の調査が順調に実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
新たにベースライン調査を開始した対照地域1市の結果についても、食塩推定摂取量と食事摂取パターンとの横断的関連分析を行う。2市2町を介入群と対照群に割り付け、介入群においては、地域の実情に応じて適塩和食による公衆栄養プログラムを1歳8か月健診、2歳児健診で実施する。保健所、保健センター(保健師、管理栄養士)、管理栄養士養成校の教員、学生が協力してプログラムの企画、推進にあたる。対照群については、観察のみを行う。両群ともに2年後の3歳半健診において、両親について同様の調査と、児の尿検査を実施し、第一尿による推定食塩摂取量とナトカリ比の測定とその結果の個人と集団への還元を行う。 【教育内容】 これまでに得られた、ベースライン調査の結果を保護者や関係者に情報提供するとともに、得られた知見をもとに、食事バランス(主食・主菜・副菜)が整い、野菜・果物の摂取に重点を置いた適塩和食の献立を紹介するリーフレットを作成し、幼児健診で配布する。 【地域全体対策】 適塩和食を推進するカレンダーを小児科医院や歯科、保育所、幼稚園に配布し掲示を依頼する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はベースライン調査と食塩推定摂取量と食事摂取パターンとの横断的関連分析が主な研究内容であり、研究分担者が予定よりも物品購入を必要としなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後公衆栄養プログラムの立案・実施を推進していくにあたり、研究分担者の消耗品等の購入に適切に使用する。
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