高齢者の慢性炎症は、骨格筋のたんぱく質分解系を活性化し筋分解を促進する。そのため、慢性炎症抑制およびたんぱく質合成促進は、サルコペニアの予防・進行抑制のために必要な課題である。乳清たんぱく質は、栄養学的に優れたアミノ酸供給源である。今回の研究で得られた結果(骨格筋の炎症抑制、たんぱく質合成促進)は、乳清たんぱく質(分解ペプチド)が、サルコペニアの栄養療法に機能性たんぱく質としても利用できることを示している。栄養価値の高い乳清たんぱく質にさらにサルコペニアの栄養療法に有効な機能を明らかにした点は、学術的および社会的意義は高いと考えられる。
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