研究課題/領域番号 |
15K00921
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
入江 隆 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (70253325)
|
研究分担者 |
岡崎 正和 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (40303193)
中川 征樹 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50370036)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 力覚 / 学習教材 / インタラクティブ / 空間図形 / 切断 |
研究実績の概要 |
本研究では,3次元力覚呈示装置(力覚デバイス)を利用することにより,ディスプレイ内に呈示された空間図形に対して力覚を伴う接触を可能とした体感型マルチメディア教材を開発する。本年度は,前年度の成果を生かして,以下の課題について取り組みを行った。 1.空間図形に対するインタラクティブな操作と多視点観察 前年度は3Dオブジェクト作成ツールによる正多面体の作成を行い,それを力覚デバイスで接触可能な仮想空間に呈示する方法について検討を行った。本年度は複数の空間図形(球,円錐,正四面体,四角錐,三角柱,立方体,正八面体)をキーボード操作で切り替えながら呈示し,呈示された空間図形を力覚デバイスにより自由に移動,回転できるようにした。また,正面から見た映像に加えて,上方と側方(右側)から見た映像を同時にディスプレイ画面に表示することにより,リアルタイムの多視点観察を可能とした。 2.空間図形の切断方法の検討 昨年度は仮想空間に呈示された空間図形を切断する前後のオブジェクト(空間図形を構成するデータ)の取り扱いについて検討した。本年度は切断を行うときに,どのように切断面を決定し,オブジェクトの節点を移動させていくのかについて検討した結果,以下の手順で切断を進めていくことになった。次年度はこの手順のプログラミング化が課題となる。 (1) 立体図形の各辺の方程式を算出する→(2) 切断面の方程式を決定する→(3) 切断面と各辺との交点を算出する→(4) 交点が辺上に存在するか確認する→(5) 辺上にある交点を結び切断面を作る
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の空間図形(球,円錐,正四面体,四角錐,三角柱,立方体,正八面体)を作成した。それらを仮想空間に一つずつ切り替えながら呈示し,力覚デバイスを用いて空間図形の移動と回転を行うことに成功した。さらにそれらの操作を多視点(3視点)から同時に観察できるようになった。また,空間図形の切断の具体的な手順についての検討を行いプログラミング化への準備が整った。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は空間図形の切断に関する研究が中心となる。本年度検討した切断の具体的手順のプログラミング化が主要な課題である。また,切断の数学的な処理に加えて利用者が切断行為を自然に行うことができるユーザインターフェースについての検討も行う。例えば,本教材の場合にも力覚デバイスで操作する仮想空間内のポインタを包丁のようなオブジェクトで表示し,切断を行う場合の侵入角度を視覚的に予測可能にすることも必要でと考える。また,リアルな切断感覚を提供するための反力呈示の工夫なども教材の魅力を高めるために必要な要素となる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は教材開発のための準備段階であったため,プログラミングに関わる謝金が発生しなかった。また,本年度は評価実験を行わなかったので,統計処理に用いるソフトウェアの購入を見送った。統計処理用ソフトウェアは毎年バージョンアップが行われており,必要な時に最新バージョンを購入することが適当と考えた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度はプログラミングに関わる謝金が発生する。これまで教材開発で使用していたPCのOSはWindows7であったが,今後の継続的な利用を目指してWindows10にバージョンアップしたところ,開発用に使用してきた力覚デバイスが使用できなくなった(インターフェースの問題)。もともと次年度は力覚デバイス(評価実験用)を新規購入予定であったが,開発用の力覚デバイスを購入するために予算が増えることになる。この問題については,次年度購入予定であった統計処理用ソフトウェアの購入見送りも視野に対応する。
|