研究実績の概要 |
1. シスプラチン投与前に深部体温を約2℃上昇させる全身温熱刺激によるプレコンディショニング(mild systemic thermal preconditioning: MSTP)によって、シスプラチン誘発性腎障害を軽減できることを確認した。
2. マイクロアレイ法によるMSTP後の腎組織での網羅的遺伝子発現解析ではTRP channelやRhoシグナル経路に関する遺伝子に有意な発現変動が認められた。Rho遺伝子発現やMYLK遺伝子発現の減少は、血管平滑筋の弛緩、および腎血流(髄質血流)を増加させる可能性が示唆された。
3. MSTP実施後の腎組織でのHSPmRNA発現は、HSPB1(Hsp27) mRNA(約2.24倍, vs. Cont群,P<0.001)、CRYAB(alphaB-crystallin) mRNA(約3.30倍, vs. Cont群,P<0.05)の有意な増加を示した。それに対して、TRPV4 channelを薬理学的に阻害するとHSP mRNAの増加は認められなかった(NS.)。MSTPはTRPV4を介してsmall HSP mRNA発現に影響する可能性が示唆された。
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