研究実績の概要 |
本研究の目的は、スポーツイベントの開催地に生じる地域社会への影響を測定することである。先行研究の検討をもとに、ポジティブな影響要因として、経済活性、文化的経験、イメージ向上、地域プライド、スポーツへの関心、ネガティブ要因として、交通・日常生活の妨害、安全面のリスク、浪費が、影響を測定する上での重要な構成要素であるとの見解に至り、これに基づいてスポーツイベントの影響を測定する30項目を設定した。 2016年度には札幌市民に対して冬季アジア札幌大会の地域社会への影響についての回答を求め、測定尺度の検討を試みたが、2017年度には、尺度モデルを再検討し、再度、確認的因子分析でその適合度の確認を行った(分析に不適切なサンプルを除く639名が対象)。 因子負荷量は24項目が.70以上、平均分散抽出(AVE)が7因子において.50以上、28の因子間相関係数の二乗の内、3つを除いてはすべて各要因のAVEを下回った。この結果、ある程度の収束的妥当性と弁別的妥当性が確認できた。さらに概ね基準を満たす適合度が確認され(χ2/df = 3.18、CFI = .952、GFI = .891、AGFI = .854、TLI = .940、RMSEA = .058)、モデルがデータに適合したと改めて判断した。なお、各構成要素の合成変数の平均値(7-point)は、経済活性(M=3.56, SD=1.12)、文化的経験(M=3.82, SD=1.21)、イメージ向上(M=4.20, SD=1.27)、地域プライド(M=3.70, SD=1.27)、スポーツへの関心(M=3.72, SD=1.22)、交通・日常生活の妨害(M=3.51, SD=0.89)、安全面のリスク(M=3.62, SD=0.99)、浪費(M=3.88, SD=0.95)であった。
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