研究課題/領域番号 |
15K01610
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
藤林 真美 摂南大学, スポーツ振興センター, 講師 (40599396)
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研究分担者 |
岸田 郁子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60464533)
森谷 敏夫 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (90175638)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 骨格筋電気刺激 / 肥満 / 運動療法 |
研究実績の概要 |
統合失調症患者は無為自閉や抗精神病薬の副作用、身体不活動などにより体重増加やメタボリック症候群のリスクが非常に高いことが知られている。運動トレーニングはそれらリスクの軽減作用をもつが、統合失調症患者の中には運動が苦手な人も多く、一般的な運動療法を行い難いことも現状である。骨格筋電気刺激は他動的な筋収縮を惹起し、糖やエネルギー代謝亢進、筋肥大が可能であり、これまでに基礎研究ならびに健常者における研究成果が多数蓄積されている。我々は統合失調症患者に対し、本方法を用いた肥満やメタボリックシンドロームの予防・改善法の構築を目指している。本年度は以下の調査ならびに実験を行った。(1) 当該病院に入院中の統合失調症患者の体組成測定および採血を行い、血液検体から血清糖質・血清脂質を分析した。(2) 男性患者を対象として、食後に骨格筋電気刺激を行い、経時的に採血、血糖値の推移を調べた。この際、電気刺激強度の記録、対象者の主観的運動強度、心拍数や血圧などバイタルサインも記録し、血糖値と併せて結果のクロス解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に早速、藤沢病院にて共同研究者および病院職員が一堂に会し、年間の研究計画を立てた。病棟看護師から現場の事情などの報告、今後起こり得るリスクとその回避策など詳細に検討を重ね、万全の態勢で具体的な研究計画を立てた。その結果、臨床応用のための実験に向けた予備調査および基礎研究を、事故や脱落もなく無事に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は当初の計画通り、対象者を「肥満」「糖代謝異常」を有する群に区分したうえで、12週間の介入研究を実施する予定である。研究代表者が、2015年度に取得したデータを元に対象候補者を選定、研究協力者が担当医や担当看護師長と相談のうえ、病状などに問題のない患者を対象に、研究について簡単な説明を行う。その後、研究代表者が直接対象候補者に研究依頼書を手渡し、口頭にて詳細に研究について説明、患者からの質問があった場合はそれに答える。そして文書による署名を得られた患者を被験者とする。介入中は、被験者に対し、担当看護師・理学療法士立会いのもと、医療系の資格をもった者が骨格筋電気刺激を実施する。これまでに骨格筋電気刺激法が身体に悪影響を及ぼした例はないが、介入中、万が一身体に変化が起こった場合は当該病院あるいは近隣の専門医院において速やかに適切な処置を施す。また対象者の精神症状については担当看護師および担当医が、変化がないか経過観察しながら介入研究を進める。対象者の個人情報については、研究計画書に記載のとおり慎重に取り扱う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打合せをする際、研究代表者の藤林(大阪、摂南大学)が研究分担者の森谷(京都、京都大学)とあらかじめ京都大学において予備打合せを行ったうえで、研究分担者の岸田(神奈川、横浜市大)と神奈川県藤沢市の藤沢病院において最終打ち合わせを行った。このため森谷の交通費が不必要になった。また採血関連医療用品(使い捨て手袋など)について、過去に大学の校費で購入したものを一部使用したため余剰が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の介入実験は30名以上の対象者がいるため、現地要員に過負担のないよう、余裕をもったスケジュールで勤務していただきたいと考えている。また研究代表者(藤林)、研究分担者(森谷)が出来る限り現地へ出向き、実験を確認しながら介入を実施する。このための謝金および交通費として使用する。
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