研究課題
統合失調症患者は,症状の一つでもある無為自閉などにより日ごろの身体活動量が著しく少ないことや一部の薬物の副作用などにより肥満や生活習慣病を引き起こしやすく,様々な身体症状、また投薬のコンプライアンスへも影響が及んでいる.我々はこれまでに,高齢者や整形外科的疾患等により身体活動低下を余儀なくされる人々の代替療法として,骨格筋を他動的に収縮させることにより代謝や筋量の衰えを防いで健康を保持する骨格筋電気刺激法を開発し応用してきた.本研究では統合失調症患者を対象として,本方法の有用性を検証し、臨床応用を目指した.統合失調症患者における骨格筋電気刺激は,①血圧に過負荷をかけることなく実施可能であること,②食後に実施することにより,食後血糖値上昇を有意に抑制すること,また③糖代謝活性化や動脈スティフネスの改善を促す可能性を有することを見出した.さらに④性差として,骨格筋量の多い男性は少ない女性と比較して効果を得やすいことを示した.精神科臨床では精神症状の改善を第一義とするため,患者の肥満や肥満を根底とする生活習慣病予防やその対策については、閑却しえない場合が少なくない.そのような実情のなか,本方法では,骨格筋電気刺激法を用いることにより患者の肥満や生活習慣病対策,延いてはQOL改善に貢献し得る可能性を示唆した.そして本研究成果は,精神科において応用し始めることができた.今後,統合失調症患者における代替療法のエビデンスとして汎用的に役立つことが期待される.
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