研究課題/領域番号 |
15K01649
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
大柳 賀津夫 北陸大学, 薬学部, 准教授 (20362014)
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研究分担者 |
松下 良 金沢大学, 薬学系, 教授 (20293368)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医薬品教育 / 薬物乱用防止 / ドラッグレター / 相談薬局 / 中学校 / 高等学校 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究経過、得られた結果は以下の通りである。 1.金沢市内の中学校および高校の各1校において、平成28年4月から1年間、DLを毎月生徒に配布、保護者にも見せるように促した。保護者に対しては、本研究内容の説明に加え、DLの家庭内教育での活用や相談薬局の利用を促す文書を事前に配布した。また相談薬局に対しては、生徒あるいは保護者から相談があった場合は、その内容や相談に対する助言内容をフィードバックしていただくよう依頼した。 1年間のDL配布後、生徒および保護者に対し、平成29年3月、DL配布および相談薬局設定の有用性を検証すべくアンケートを実施した。アンケート結果は現在、集計・解析中である。 2.平成28年4月、金沢大学全学類および北陸大学薬学部に入学した1年生(新学習指導要領(新要領)下で中高の教育を受けた大学生)に対しアンケートを実施し、旧学習指導要領(旧要領)下で中高の教育を受けた大学生に平成27年4月に実施した同様のアンケート、さらに平成25年11月実施の高校1年生を対象としたアンケートとも比較した。平成27年との比較では、新要領で追加された医薬品分類等の理解は平成28年の方が高かったが、医薬品を水以外で服用する学生は両年とも約40%存在し、差は見られなかった。また医薬品等に関して疑問が生じた際、両年とも「ネットで調べる」と答えた学生が最も多かった。さらにネットの質問サイトで専門用語が多用された場合、その情報を正しいと感じる学生が新要領下でも71%存在した。平成25年との比較では、全体的に回答の傾向や割合に大きな変化は見られなかったが、平時に健康や美容、医薬品について疑問が生じた際の行動は、高校1年生は「家族に相談する」が最も多かったが、大学生は「インターネットで調べる」が最も多かった。 これら結果の一部はDL作成に反映した。また現在、学術雑誌に投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では高校でのDL配布時期を平成29年4月以降の一定期間(6か月以上)としていた。しかし、高校との打ち合わせにて配布期間を1年間としたことにより、年度をまたいでの配布とならないようにするため、配布時期を平成28年4月から平成29年3月に変更したことが、当初の計画以上に進展している理由である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終目的は、DLの配布や相談薬局設定の有用性検証のみならず、中学校と高校間でDLの有効性や相談薬局での相談内容等に違いがみられるかの比較、さらに中学校と高校の連携の必要性の有無・方法の検討も行うことを目的としている。既に計画していたすべてのアンケートは実施済みのため、集計・解析を急ぎ、研究成果のまとめと報告(学会発表、学術雑誌への投稿)を行う。 研究計画上、DLの配布は中学校および高校ともに平成29年3月にて一旦終了しているが、長期配布の効果を検証したいと考え、さらに1年間配布を継続することとした。平成30年3月に再度アンケートを実施し、配布期間の違いによる差の有無等を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、その他(印刷・通信費)が見込みよりも少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の主な支出予定は、DL配布継続にかかる費用、研究成果報告のための費用に関するものである。
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