研究課題/領域番号 |
15K01676
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
菅原 民枝 国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 主任研究官 (30435713)
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研究分担者 |
大日 康史 国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 主任研究官 (60223757)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学校欠席者情報収集システム / 感染症 / 学校保健 / サーベイランス / 生徒児童等 / 早期探知 / 感染症拡大防止策 |
研究実績の概要 |
学校は児童生徒らが日々集団生活を行っているため、様々な感染症拡大の可能性があり、集団発生の場合には重症者あるいは死亡者がでることもある。また、そのため、学校内における早期対策が必須である。早期対応のためには、早期探知が必要であり、それは学校内にとどまらず、地域での感染症の発生状況の迅速な把握が必要である。 「学校欠席者情報収集システム」は日々のサーベイランスシステムであり、有用性が高い。各学校において、個人情報を除いた児童生徒等の出席停止情報は、インターネットを介してデータベースに入力される。入力された情報は、入力された瞬間から教育委員会、保健所、都道府県庁、学校医、医師会、あるいは他学校と共有される。各感染症の患者数の全数把握となり、平時の感染症対策のためだけではなく、イベント開催時の感染症対策においても有用である。 本システムは、国立感染症研究所感染症疫学センターで開発し、公益財団法人日本学校保健会によって運用され、国立感染症研究所が技術支援を行っている。現在(2017年4月)、28都道府県6政令指定都市2特別区での実施に留まっており、全国での実施になっていない。そのため、隣接する都道府県の情報が迅速に把握できていない現状もあり、実施している都道府県と実施していない都道府県では、情報量の格差が生じ、早期対応できることもできない可能性がある。そのことが、児童生徒らの健康被害につながってはならないと考える。 そこで本研究では、導入できていない都道府県及び導入してまもない都道府県にむけてシステムの利点や活用事例、導入の手順等をまとめた「『学校欠席者情報収集システム』導入に向けた自治体向け手引書」を作成し、導入から開始までの過程や導入後の活用方法等をわかりやすく解説し、自治体単位での導入が円滑に進むように支援するためのものとするためのものとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「『学校欠席者情報収集システム』導入に向けた自治体向け手引書」の作成を行い、手引書の改訂を行った。既にシステムが導入・実施されている自治体に対して、現状の把握、システムの活用事例、及び導入のプロセスに関してヒアリングを元に内容を評価し、改良を行った実施地域を中心に各自治体関係者にヒアリングを行った。改訂した手引書の評価を各自治体関係者から受け、手引書の改訂内容を検討した。 手引書作成においては、1、はじめに、2、導入決定から開始までの流れ(2-1推進体制の構築・導入に至るまでの関係機関との連携、2-2学校への事前説明とスケジュール組み立て、2-3セキュリティについて、2-4システムの入力・登録の内容について、2-5臨時休業等の管理、2-6スタートアップ研修、2-7フォローアップ研修の目的と内容)、3、導入時の課題の解決方法、4、今後に期待することとした。 また、実際の活用事例として既に導入・実施されている自治体の担当者より参考にしやすいコラム形式とし、コラムは、保健所、小学校、中学校、高等学校、私立学校、市町村教育委員会、県教育委員会、都道府県感染症課、校長、学校医、地区医師会のそれぞれの立場からとした。中でも導入に際した障害内容や、有用な利用ができた事例等を参考にし、手引書において導入時の課題の解決方法という項を設定した点を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
4-6月新規導入地域を中心に各自治体関係者にヒアリングを行う。 7-9月研究班会議にて、新規導入への手引書・説明会の有用性について評価を行う。 10-12月研究班会議にて行った手引書・説明会の評価を手引書に反映する。 1-3月研究班会議にて、3年間の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。 平成28年度分についてはほぼ使用済みである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおり。
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