研究実績の概要 |
血管内皮機能の低下や血管内膜の肥厚がみられる食餌誘導性の動脈硬化初期病変モデルを、齧歯類動物モデルに高脂肪食(High fat diet)を投与することにより作成した。このモデル動物の糞便中よりDNAを精製し、細菌門別に対して特異的なオリゴDNAプライマーを用いて定量的Reverse transcription-Polymerase chain reaction(RT-qPCR)により細菌数の相対量を評価した。すると、通常食投与群と比較して高脂肪食投与群ではBacteroidetes門細菌には違いはなかったが、Firmicutes門細菌が有意に高かった。さらに、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(Denaturing gradient gel electrophoresis, DGGE)法により細菌叢の変動を評価すると、有意な変動が確認できた。さらに、低用量の人工甘味料や抗生物質投与でもDGGE法による解析により、腸内細菌叢が変動することを明らかにした。現在は柑橘類由来フラボノイド中から分離・同定したある特定の低分子化合物(m/z=300.085)を中心に、これらの腸内微生物叢への影響と心血管内皮機能への効果を評価している。これらの研究は、国際共同研究加速基金・国際共同研究強化に採択された課題でさらに発展させて研究を継続する予定である。
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