研究課題
心臓血管手術時に得られる心房細動患者の左心耳切片を用いた研究を行い,以下の成果を得た(Heart Rhythm,投稿中)【背景と目的】近年,心外膜脂肪(epicardial adipose tissue: EAT)が心房細動の発症や進展と関係するとの報告が相次いでいるが,そのメカニズムは明らかでない。本研究では,心臓血管外科手術を受ける心房細動患者から術中に摘出される左心耳切片を用いて,心外膜脂肪と心房筋線維化の関係を組織学的および生化学的に解析した。【方法】連続59症例の左心耳切片を解析した。組織学的検討として,hematoxylin eosin染色およびMasson trichrome染色によって,心外膜脂肪の面積および心房筋の線維化をそれぞれ定量した。生化学的検討として,心外膜脂肪中の炎症性サイトカインの網羅的解析と心外膜脂肪に隣接する心房筋のコラーゲンを定量した。【結果】・心外膜脂肪そのものの線維化リモデリング(fibrotic remodeling of EAT)の程度は心房筋線維化の程度と相関した。・Fibrotic remodeling of EATは,マクロファージおよび筋線維芽細胞の浸潤と関連した。・心房筋線維化の程度は,隣接する心外膜脂肪中の炎症性サイトカイン(IL-6,MCP-1,TNF-α,VEGF,MMPs)の量と相関した。【結語】Fibrotic remodeling of EATおよび心外膜脂肪中の炎症性サイトカインは心房細動基質としての心房線維化と関連することが明らかになった。心外膜脂肪およびこれに含まれる炎症性サイトカインは心房細動治療や予防の新たな標的になることが示唆された。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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