研究課題
本申請課題では、ヒト乳幼児期および思春期における社会性発達において、社会性ホルモンがおよぼす影響について明らかにするために、乳幼児期および思春期の児童を対象に、社会的行動指標、心理指標、内分泌指標のそれぞれが互いにどのように関連し、加齢とともにそれらがどう変化してゆくかという点を明らかにすることであった。まず、乳幼児を対象とした研究では、社会的刺激に対する視線計測を行い、内分泌指標である唾液中オキシトシン(OT)濃度と発達との関連性について検討した。その結果、唾液中OTは加齢とともに低下する傾向が確認され、また視線では、社会的情報への注視時間も加齢とともに低下する傾向が確認された。また両者の関連性について検討したところ、顔刺激の目領域への注視率と唾液中OT濃度との間に有意な関連性が認められた。これは、OT濃度が目領域への注視を制御している可能性を示唆しており、その制御は加齢とともに低下することを示唆している。またOT受容体遺伝子多型(OXTR)との関連性について検討したところ、多型の違いにより、2歳以降の視線パターンが異なることも明らかとなった。以上の結果は、本年度英語論文として報告した。次に、児童青年期を対象とした研究では、定型・非定型発達児85名を対象に、OT制御に関わるOXTRのDNAメチル化と発達特性および脳画像との関連性について検討した。その結果、OXTR DNAメチル化と発達特性との関連では、領域CpG 5において両群に差が見られ、非定型発達群は定型発達群にメチル化率において有意に高値を示した。またこのメチル化率は、脳の左前頭眼窩皮質の灰白質容積と負の関連性を示す結果が得られ、両者の関連性が両群の発達特性の違いとして現れている可能性を示唆した。以上の結果は、中間解析結果を国際会議において報告し、現在は最終結果について英語論文として報告するために準備中である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://www.med.u-fukui.ac.jp/cdrc/