劇作家、詩人のピエル・ヤコポ・マルテッロ(ボローニャ、1665―1727年)は、美術批評でも注目すべき言説を遺した。また彼は、新しい演劇上演を模索しつつ、画家に図像プログラムを提供し、自著には豊かな挿絵を用意している。本研究は、一連の事業の考察をとおし、その眼差しの再構成を試みた。 マルテッロは文学アカデミー「アルカディア」に属した。1690年ローマ設立の同会では、ペトラルカ主義の再興による「良き趣味」の確立が目指されている。その文脈にあって、マルテッロはバロックの遺産をも尊重する中庸的態度で際立っていた。彼の活動の理解は、同時代イタリアの美術と文化に新たな光を当てると信じられる。
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