研究課題
基盤研究(C)
4年間にわたった本研究の柱は二つ、一つは近世歌合伝本書目の編纂であり、もう一つは近世歌合の全容の把握ならびに主要歌合の注釈的研究であった。前者についてはおおむね計画した通りの書誌データを集積し、後者については神作研一「近世歌合の諸問題(仮)」(龍谷大学仏教文化研究所指定研究「龍谷大学図書館蔵蘆庵本歌合集の研究」の研究成果物に「解説」の1本として収載、2019年度に刊行予定)なる小論ほかをものした。
日本文学
江戸時代の人びとにとって和歌は、学ぶべき教養であり、身につけるべきインテリジェンスであった。彼らの手本は公家たちだったが、時代が下るにつれて派閥の領袖が現れ、やがて一門の中で研鑽を積む手段として歌合が隆盛することとなった。歌合は、江戸前期の堂上ではさほど行われず、江戸中期以降の地下において盛行し、それは専ら写本で流通したのだった。江戸は出版の時代だが、伝存の多い写本を丹念に調査してゆくことも重要である。