近代初期英国において、「大陸」で大流行したエンブレムが取り入れられ、視覚文化や文学に大きな影響を与えた。図像と言語の両方を用いたバイメディアルなエンブレムは、視覚芸術や言語芸術を理解するうえで、単なるイメージの材源ではなく、作品の根幹をなす重要な意味を示唆しうる。この点を追求するために、いくつかの海外図書館においてエンブレムブックの調査を行った。とくに英国では、イエズス会の瞑想の方式をプロテスタント的に適用したフランシス・クォールズの『エンブレム集』(1634年)が作成され、これらを用いて、シェイクスピアの『ハムレット』のユニークな宗教的側面を明らかにすることができた。
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