研究課題/領域番号 |
15K02457
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
李 郁惠 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80399071)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本語文学 / 台湾文学 / 台湾文化 / 台湾語文教育 / 台湾ナショナリズム |
研究実績の概要 |
今年度は計画どおりに台湾文学関連学部・大学院を設置した教育研究機関について調査を行い、カリキュラムや学位論文における日本語文学の受容形態を確認した。 まず、大学院からいえば、名称は大きく三つに分かれる。直接「台湾文学」の名を冠する大学(成功大学、清華大学、台湾大学、中正大学、中興大学、政治大学、彰化師範大学)と、広く「台湾文化」を取り上げる大学(台南大学、台北教育大学、東華大学、高雄師範大学)と、「台湾語文」として言語教育に重きを置く大学(新竹教育大学、台中教育大学、台湾師範大学)がある。合計15か所のうち、東華大学と新竹教育大学以外は日本統治期の文学をテーマとした科目を開講している。中でも面白いことに、台湾人作家だけではなく、当時台湾在住の日本人作家の作品も注目されているようである。また、同時期の歴史や政治、社会も大きなテーマとなっているようである。 一方、「台湾文学」とはっきりと打ち出した学科は真理大学の1か所のみだが、同じ真理大学や台中教育大学、中山医学大学、国立聯合大学の「台湾語文」も関連するものと思われる。日本語が必修となっている場合や、日本統治期の文学が履修科目の中に挙げられている場合がほとんどである。成立時期に関しては、大学院と同じく、1997年に始まり、2004や2005年に集中している。これは20世紀末から21世紀初頭、中国一元化を退け、台湾ナショナリズムが台頭した結果だったともいえる。 台湾の場合、学位論文の提出は大学院以上に課されるため、主に修士論文を中心に集めた。現在、その中から日本統治期に焦点を当てたものをピックアップし、文学関係かどうか、または日本語作品かどうかで細かく分類する作業に取り組んでいるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおりに学術研究上における受容形態を分析し、台湾文学としての注目度を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の調査結果を分析するとともに、翻訳の出版状況を検討する。 出版状況を検討する手順としては、まず出版目録、図書館蔵書目録、電子図書を利用しながら、資料を入手する。次に作品別、作家別、訳者別、出版年別に区分し、作表を試みる。最後に、注目度が高い作品や発行部数が多い作品を抽出して次年度の分析対象としたい。
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