本研究は、現代ヒンディー語の大規模ウェブコーパスを構築し、コーパスから得られる使用頻度等の統計的指標を元に、ヒンディー語の複合動詞について、語用論の面から日本語との対照研究を行うものである。 主な成果はこれまで定説であった「複合動詞のV2('jaanaa' GOや'denaa' GIVE 等)と否定辞が基本的に共起しない」について、実際はこれらV2が否定辞と共起している事実を量的に例証したことである。さらにこの否定辞と共起しているV2の例について、日本語の補助動詞「しまう」と否定辞が共起する環境を援用しつつ、ヒンディー語のV2の共起する環境が「しまう」のそれに酷似していることを明らかにした。
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