本研究は子どもの過去の経験に関する自己物語(ナラティブ)から、親と過去の出来事について、いかに協働で物語を構築するのかに着目した。30時間の録音・録画したデータに基づいて、分析を進めていった。物語の中で子どもが語彙、文法、オノマトペ等の言語資源および表情やジェスチャーといった非言語行動を使用すし、自身の言動を再現することが見られた。そして、自身だけではなく、他者(人物、動物)の言動を再現することも見られた。この結果から、親と一緒に過去の経験を語ることを通して、自身の記憶を相手に適確に伝える伝達能力、感情の育成、アイデンティテの構築といった社会化に不可欠な要素を育てる機能があることが示唆である。
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