研究実績の概要 |
本研究では,音声認識システムによる発音自律学習とビデオ撮影プロジェクトを統合したドイツ語アクティブラーニングの実践を行い,データ収集,分析を行った. まず発音については,日本人学生が問題なく認識される発音と、困難な発音があることが改めて確認でき、調音に関する基本的知識を与えることで発音が改善されるケースが多数みられた.また,個別に問題点をフィードバックしたのち音声認識アプリでトレーニングを繰り返すことで改善されるケースも多いことがわかった.フィードバックは,問題点の重要なポイントだけを説明し,学生自身が音声認識アプリでトレーニングを行いながら成果を確認するという手順を取ることで,短時間に多くの学生の「発音個別指導」を行うことが可能になった. ビデオ撮影プロジェクトも各年度6回のビデオ撮影を行った.学習初期の段階からドイツ語を覚えてビデオの前で話すという作業を繰り返すことで,ドイツ語を声に出すことへの抵抗が減ると同時に,ドイツ語の記憶定着が促進される傾向が見られた.また1年間,ドイツ語学習へのモティベーションが高い状態で維持されていたことが,学生からのフィードバックで明らかになった. オンライン例文データベース(Tatoeba Project, Glosbe など)を活用することで,文法の学習進度にとらわれずに,学生自身が考えている内容をドイツ語で表現できるようになった.検索された例文の主語や目的語を置き換えたり,時制を変えたりする必要が生じた時は,必要な文法事項を理解し習得する大きなチャンスとなることも実践を通して明らかになった. ビデオ撮影に対する評価指標を作成し,提出されたビデオに関して評価作業を行なったが,ドイツ語学習の経験が浅い学生が自己評価,相互評価するための指標としてはさらなる検討が必要である.
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