本研究では特定地域にローカル商品が流通し、消費される状況を明らかにするため、スーパーマーケットの新聞折り込み広告チラシの収集と分析を行った。その情報をもとに、主に海藻の郷土食である「えご」を対象として検討を加えた。その結果、消費者の経験と記憶、販売者の戦略や思惑といった多元的な語りの中で現象が顕在化し、地域を越えた多様なアクターが関わるかたちでローカル商品が展開している動向を把握することができた。 本研究を通して、博物館を核とした市民参加型の調査成果を講座や体験、展示などで発信する手法について考え、博物館学芸員による民俗学的研究の社会的役割や社会実践の方向性を示した。
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