本研究はアセアン地域における立憲主義の現状と課題を考える過程に国際人権法の位置付けを確認し、研究対象国の憲法と国際人権条約やアセアン人権宣言との関係を理解するねらいであった。対象国は主に1990年代から自由民主主義や経済体制の自由化を図るために新しい憲法を採択し、憲法を改正した国を中心としている。さらに、アセアン地域統合に重要な役割を果たしてきたシンガポールも対象国にした。 1990年代以降の憲法は国際人権条約の文言を多く導入し、国際基準との整合性が注目されているが、批判的な評価が目立つ。国内政治的な要素もあるが、国際基準というものの是非やその地域性について整理されていないことも課題である。
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