研究課題/領域番号 |
15K03315
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三浦 聡 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10339202)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グローバル・ガバナンス / トランスナショナル・ガバナンス / 国連グローバル・コンパクト / プラットフォーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、経営学の理論と方法(とくにエスノグラフィーとアブダクションに基づくグラウンディド・セオリーの構築)を導入して、国際政治学の理論的・方法論的革新を目指すことである。より具体的には、グローバル・ガバナンス論に「プラットフォーム」の概念を導入して、「グローバル・ガバナンス・プラットフォーム」として国連グローバル・コンパクト(UNGC)の機能と動態を解明することである。ひいては国際政治経済学(IPE)につづく国際政治学の新たなフロンティアとして、国際政治学と経営学の交配を通じた「グローバル政治経営学(GPM)」の可能性を模索する。 平成28年度の主な活動は、論文の執筆とその概要の報告である。平成28年6月にはACUNS (Academic Council on the United Nations System)年次大会にて"Global Governance Platform: The Case of the United Nations Global Compact"と題した報告を行った。平成28年9月に国際法学会研究大会において「トランスナショナル・ガバナンス・プラットフォーム――国連グローバル・コンパクトのケース」と題した報告を行った。同報告を大幅に修正したトランスナショナル・ガバナンスに関する論文を執筆中である。 また、エスノグラフィーについては、平成28年6月に開催されたUNGCのLeaders Summitに参加し、UNGCの最新動向の把握に努めた。加えて、平成29年3月には、UNGCの日本におけるネットワークであるGCNJが開催したシンポジウムに出席した。また、UNGC加盟企業のCSR担当者に対するインタビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度はグローバル・ガバナンス論の中でも「トランスナショナル・ガバナンス」と呼ばれる領域の理論と実践の動向の把握に努めた。同領域は研究面でも実践面でも比較的新しい領域であるものの非常に多くのイニシアティブ(に関する研究)が生まれており、その動向の情報収集と分析に時間がかかっている。加えて、経営学(および経済学)における特にプラットフォーム論の動向把握にも事前の予想以上に時間がかかっている。 他方で、UNGC関連のイベントのエスノグラフィーの実施も諸事情により1度にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に研究を行ったトランスナショナル・ガバナンス(TG)論につき、分析枠組を構築した上で様々な論点をまとめる論文を執筆する。これにより、トランスナショナル・ガバナンス・イニシアティブの一つであるUNGCの機能と動態をTGの文脈に置いて分析することが可能になる。 また、UNGCのエスノグラフィー(参与観察およびインタビュー)をより積極的に行い、最新動向の把握を継続しつつ、実証研究につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は海外での学会報告やUNGCのイベントへの参加を行ったものの、平成27年度にそれらを十分に行えなかったことから発生した次年度(平成28年度)使用額と平成28年度使用額を合計した額をすべて使用するまでには至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度はUNGCやその他のガバナンス・プラットフォームのイベントにさらに積極的に参加したい。
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