「世俗主義」とは国家と宗教を別の制度と捉えることである。EUは経済共同体として発足したが、宗教に関する政策も権限もなかった。2009年リスボン条約で、EU設立条約として初めて「宗教」に関する条項が挿入され、EUは宗教全般に対して中立性を保ち、宗教的な団体も他の市民社会団体と同様に尊重することを明記した。EU加盟国は各国の伝統や慣習に基づいた世俗主義の在り方を規定しているが、EUはその権限はない。EUは伝統という観点から宗教一般の文化的役割を認め、欧州の伝統として人権や信教の自由を普遍的価値として重視する。その価値を現実的に保護できる制度を構築することがEUの世俗主義の在り方となる。
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