モーメント不等式モデルとは、関心のあるパラメータがモーメント不等式制約によって定義されるモデルであり、近年の計量経済学において多くの関心を集めている。本研究課題においては、不等式数が標本サイズよりも大きいような場合にも有効な、識別集合内の各パラメータへの統計推測手法の確立に従事した。具体的には、まず理論解析に必要な確率論的手法を整備したあとに、これらの結果をベースにして、大規模モーメント不等式モデルに対して、最大値型の統計量に基づく統計推測手法を提案し、その理論的な妥当性を証明するとともに、数値的な妥当性を検証した。
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