地域経済統合は効率的資源配分や技術移転の促進により域内国の経済成長を実現させてきた。一方、域内加盟国間の格差は残された課題の一つである。本研究は、ASEAN後発国が、域内・グローバルな生産ネットワークへの参加によりキャッチアップを実現する可能性を、財別輸出データを用いて実証分析するものである。分析の結果、ASEAN域内では、工程間分業のネットワークへの参加は、輸出企業数の増加と持続的な輸出、生産性の向上と輸出構造高度化の機会をもたらすことが明らかになった。また、拡大EUとの比較から、ASEAN後発国の域内生産ネットワークのもとでのキャッチアップはより早く生じている可能性があることが分かった。
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