本研究では、行動契約理論によるインセンティブ設計問題を分析した。まず、エージェントが成果の立証可能性が異なる二つの職務に従事するモデルを考えた。立証不可能な職務に貢献できるもう一人のエージェントを加え、エージェント間でその職務に関してシグナリング・ゲームを行う。その結果、プリンシパルは立証可能な職務のインセンティブを高めることで、立証不可能な職務への貢献を高める均衡が存在することを示した。次に、損失回避性向をもつ複数エージェントのモラル・ハザード問題を分析した。チームの一定数のメンバーが高い成果を収めた場合、個々の成果に関わりなく全てのメンバーに同額の報酬を与えることが最適であることを示した。
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