本研究では,日本企業の資金調達の在り方についての分析を行った。本研究の1つ目の貢献は,企業の負債比率,現金保有比率の決定が,企業固有の要因のみだけでなく,その企業が属する同業種のPeer企業の負債比率,現金保有比率にも依存している(Peer効果)ことを実証的に明らかにした点である。 本研究の2つの目の貢献は,日本企業の負債比率は安定しているかを分析したところ,1980年代前半から20年以上にわたり,負債比率の高い企業は継続して高く,低い企業は継続して低い傾向のあることという事実を明らかにした点である。特に,上場企業のみならず非上場企業にも同様の傾向があることが確かめられた。
|