本研究は、企業に入社した新卒の従業員が、組織に適応し、組織社会化されるプロセスを長期的に観察することによって、当該従業員が継続的に就業する場合と離職や転職をする場合を分ける要因を明らかにしようとするものである。そのため、入社間もない従業員と入社から数年経っている従業員の違いを比較検討したところ、入社間もない従業員は仕事を概念的、かつ抽象的に捉えており、仕事と職場の人間関係を分離して捉えていた。それに対して、入社から数年経っている従業員は仕事と人間関係を統合して捉える傾向にあった。その結果として、入社間もない従業員は仕事に対する満足や組織に対するコミットメントを感じづらく、離職のリスクがある。
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